高力TCボルト(トルシア形高力ボルト)
高力TCボルトは、施工管理の簡略化と施工精度の向上を目的として研究・開発されたも のであり、(社〉日本鋼構造協会規格 JSS Ⅱ 09および(社)日本道路協会規格に適合する トルシア形高力ボルトのセットです。
高力六角ボルトセット同様に、鉄鋼素材の製鋼、圧延(日本製鉄(株))から製品出荷まで の一貫工程により製造しており、高品質を誇る国土交通大臣認定取得製品です。
特長
高力六角ボルトに加えて、次のような特長をそなえております。
- 締付け軸力が安定します。
- 締付け終了は破断溝の破断で確認できます。
- 騒音がありません。
- 電動機で簡単に締付けられます。
- 締付け機械の調整がいりません。
- 締付け忘れがありません。
高力六角ボルト
特長
- 当社の高力六角ボルトは、ボルト、ナット、座金ともに鉄鋼素材の製鋼、圧延(日本製鉄(株))からボルトセット~出荷までの一貫工程により厳格な品質管理のもとに製造しており、高品質を誇るJIS表示認証取得製品です。
- 材料は、日本製鉄(株)において高炉から圧延までの一貫工程により製造された当社専用の高品質鋼材であり靭性に富み、特に耐遅れ破壊特性に優れています。
- 特に、締付け軸力と密接な関係にあるトルク係数値については、高力ボルト専業メーカーとして、永年の技術の蓄積により、常に安定した品質の製品を提供しております。
ニッケル系高耐候性高力ボルト
特長
- 鋼橋のライフサイクルコスト低減には耐候性鋼(JIS G3114 溶接構造用熱延耐候性鋼)の裸使用が有効です。しかし、周囲を海で囲まれている日本では塩分量が多く湿度も高いため、その適用は比較的マイルドな環境である山岳部に限られていました。
そこで、従来の耐候性鋼の成分系を見直し、塩水散布暴露試験(促進試験)により添加元素の影響を評価、高塩分量にはNiが有効であることの結果を得ました。また、1.3mddの高飛来塩分量の実環境下においても暴露試験を実施、3%Ni系高耐候性鋼を開発、実用化しました。 - 従来の耐候性鋼では、海岸から近く海からの飛来塩分の影響が大きい地区においては必ずしも期待通りの効果が得られません。このような厳しい環境下でも耐え得るニッケル系高耐候性鋼として3%Ni鋼を開発しました。
海浜大気環境暴露試験の結果、従来の耐候性鋼に対し、P, Cu, Niの添加が有効で、Crは逆に有害であることが判明。Ni添加量を増やし、Crを無添加とした。
ニッケル系高耐候性のさび断面を観察すると、緻密で保護性のある内層さびと粒子が粗く保護性の少ない外層さびの2層構造となっています。 特に内層さびと地鉄の界面にはNa+が濃縮し、アルカリ性となって腐食の進行を抑えています。 - ニッケル系高耐候性鋼用高力ボルトとしてNiを3%添加したボルトを用意しております。
高力ボルトの種類としては、高力六角ボルトと高力TCボルト(トルシア形高力ボルト)を製造しております。
また、ニッケル系高耐候性鋼に表面処理を施した場合に用いる高力ボルトも製造しております。
なお、Ni含有量が1.2%の鉄骨部材の接合にも適用可能です。詳しくは、弊社担当までお問合せください。
耐候性高力ボルト
特長
近年、橋梁などの鋼構造物をはじめとして大気腐食が問題 となるすべての用途に広く、耐候性鋼材やニッケル系高 耐候性鋼材が使用されています。 弊社の耐候性高力ボルトは、耐候性鋼材を使用する構造物の接合を目的として開発した特殊材質のものであり、品質が安定し、かつ耐遅れ破壊性に富んだBOLTEN110N材を基本にして耐候性元素といわれるCu、Niを多く含有し、より高い耐候性を付与した材料を使用しているので大気中での耐腐食性にすぐれており、土木・建築、産業機械など各分野でご好評をいただいております。
- 大気腐食に優れており、工業地区、臨海工業地区での 暴露試験でも好結果の実績を有しています。
- 耐遅れ破壊性に優れています。
- 安定した締付け軸力およびトルク係数値を有しています。
- 共回りに対して独自の表面処理技術により防止されています。
トルシア形超高力ボルト〔SHTB〕
特長
- SHTBは、耐遅れ破壊特性に優れた素材開発ならびに応力集中を緩和できるボルト形状、新ねじ形状の採用により、遅れ破壊を克服した画期的なボルトで、従来ボルト(F10T)の約1.5倍という超高耐力化を実現しました。
- 国土交通大臣の認定(認定番号:MBLT-0113)を取得しました。
- SHTBを採用いただくことにより、ボルト継手のコンパクト化ならびにボルト締め付け費の低減、工期短縮等多くのメリットが得られます。
- 施工は、従来のトルシア形高力ボルトと同様の効率的な締め付け施工性を有します。
継手コンパクト化の概念図
規格
ボルトの長さ
ボルトの首下長さは、締付け長さ(締め付ける鋼材の総厚さ)に、下記の長さを加えてお選び下さい。
ボルト種類 | 加える長さ(mm) | (注記) 従来TCボルトの「加える長さ」より5mm長くなります。 |
---|---|---|
SHTB16 | 30 | |
SHTB20 | 35 | |
SHTB22 | 40 | |
SHTB24 | 45 |
ボルトの機械的性質
規格 | 耐力(N/mm²) | 引張強さ(N/mm²) | 伸び(%) | 絞り(%) | 硬さ(HRC) |
---|---|---|---|---|---|
SHTB | 1,260以上 | 1,400~1,490 | 14以上 | 40以上 | 39~47 |
設計耐力
ボルト種類 | 長期許容耐力(kN) | 短期許容耐力(kN) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
1面せん断 | 2面せん断 | 引張 | 1面せん断 | 2面せん断 | 引張 | |
SHTB16 | 46 | 92 | 92 | 69 | 138 | 139 |
SHTB20 | 72 | 143 | 144 | 107 | 215 | 217 |
SHTB22 | 87 | 173 | 175 | 130 | 260 | 262 |
SHTB24 | 103 | 206 | 208 | 155 | 309 | 312 |
ボルト種類 | 最大耐力(kN) | ||
---|---|---|---|
1面せん断 | 2面せん断 | 引張 | |
SHTB16 | 169 | 338 | 230 |
SHTB20 | 264 | 528 | 358 |
SHTB22 | 319 | 639 | 442 |
SHTB24 | 380 | 760 | 517 |
設計ボルト張力
ボルト種類 | 有効断面積(mm²) | 基準張力 | 引張長期許容応力度 | 設計ボルト張力(kN) | 標準ボルト張力(kN) |
---|---|---|---|---|---|
SHTB16 | 164 | 760(N/mm²) | 460(N/mm²) | 155 | 171 |
SHTB20 | 256 | 242 | 266 | ||
SHTB22 | 316 | 299 | 329 | ||
SHTB24 | 369 | 349 | 384 |
ここで、材料強度の基準値(規定耐力)=1260(N/mm²)とする。
備考:設計ボルト張力=有効断面積×規定耐力×75%
標準ボルト張力=設計値の10%増し(S10Tと同じ考え方)
導入張力
ボルト種類 | 常温時の導入張力平均値(kN) | 常温以外の導入張力平均値(kN) |
---|---|---|
SHTB16 | 161~193 | 155~203 |
SHTB20 | 252~302 | 242~317 |
SHTB22 | 311~373 | 299~391 |
SHTB24 | 363~435 | 349~457 |
規格記号(国土交通大臣認定番号)
規格 | 備考 | 認定番号 |
---|---|---|
SHTB | 国土交通大臣一般認定規格 | MBLT-0113 |
施工
従来のトルシア形高力ボルトと同様の効率的な締付け施工性を有します。
- インナースリーブをボルトつかみ部に完全に挿入してから、締付け機を軽く押しながらアウタースリーブをナットにはめます。
- 締付け機のスイッチを入れます。
アウタースリーブが回転し締付けが行われ、所定のトルクに達すると破断溝が切れます。 - 破断溝が切れたらスイッチを切り、同時に締付け機を手前に引き、アウタースリーブをはずします。
- チップレバーを引きインナースリーブのピンテールを放出します。
【ご使用時の注意点】
- SHTBは、屋内環境でご使用下さい。また、屋内であっても温泉施設、温水プール等の腐食環境下では使用しないで下さい。(遅れ破壊防止のため) 使用環境についてご不明な場合は、弊社へご相談ください。
- 本製品をご採用の場合は使用環境確認書の提出が必要です。
- 屋外での使用をお考えの場合は12G SHTB(12G溶融亜鉛めっき高力六角ボルト)がありますので別途ご相談ください。
- SHTBの導入張力は通常の高力ボルトに比べ高いため、対応した締付け機をご使用下さい。
- 締付けの際には、ボルト頭部のマークをご確認下さい。
SHTB対応締付け機一覧表
一次締付用 機種リスト | |||||
---|---|---|---|---|---|
ボルトの種類 | シャーランナータイプ | シャーレンチタイプ | |||
SR-31 | SR-51 | KS-2024-1 | KS-4001B | 6922K | |
SR-32 | SR-52 | KS-2024-2 | KS-4002B | ||
SHTB16 | ○ | ○ | ○ | ||
SHTB20 | ○ | ○ | ○ | ||
SHTB22 | ○ | ○ | ○ | ||
SHTB24 | ○ | ○ | |||
トルク範囲 | 150~300N・m | 300~500N・m | 160~310N・m | 300~500N・m | 118~225N・m |
本締め用 機種リスト | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
ボルトの種類 | M-201RAT | GM-201AT | GM-221AT | GH-241AT | V301T | 6924N |
M-202RAT | GM-202AT | GM-222AT | GH-242AT | V302T | ||
SHTB16 | ○ | ○ | ○ | |||
SHTB20 | ○ | ○ | ||||
SHTB22 | ○ | ○ | ○ | |||
SHTB24 | ○ | ○ |
12G溶融亜鉛めっき高力六角ボルト〔12G SHTB〕
特長
弊社は、この度、12G溶融亜鉛めっき高力六角ボルト(商品名:12GSHTB)を開発して、国土交通大臣の認定(認定番号:MBLT-0064)を取得しました。
これは、既に多くの販売実績を有する、トルシア形超高力ボルト(商品名:SHTB)の技術を発展させたものです。今後、各種建築物、立体駐車場、橋梁、鉄塔等へのご使用が可能になりました。
- 本製品は、既存の溶融亜鉛めっき高力ボルト(F8T)の約1.5倍の耐力を有します。
- めっき付着量は550g/m²以上としており、長期防錆に優れています。
- 12GSHTBを採用して頂くことにより、ボルト継手が従来に比べ約2/3のサイズにコンパクト化できます。また、ボルト締付け費の低減、工期短縮等、多くのメリットが得られます。
- 施工は、従来の溶融亜鉛めっき高力六角ボルトと同様の「ナット回転法」による締付け方法で実施します。
継手コンパクト化の概念図
規格
ボルトの首下長さ
ボルトの首下長さは、締付け部材の厚さに、下記の長さを加えたものを使用してください。
ボルトの種類 | 加える長さ(mm) |
---|---|
12G SHTB16 | 35 |
12G SHTB20 | 40 |
12G SHTB22 | 45 |
12G SHTB24 | 50 |
ボルトの機械的性質
●ボルト試験片の機械的性質
規格 | 耐力(N/mm²) | 引張強さ(N/mm²) | 伸び(%) | 絞り(%) |
---|---|---|---|---|
12G SHTB | 1,080 以上 | 1,200 ~ 1,300 | 14 以上 | 40 以上 |
●ボルト製品の最小引張荷重及び硬さ
ボルトの種類 | 呼び | 引張荷重(最小)kN | 硬さ HRC |
---|---|---|---|
12G SHTB16 | 16 | 197 | 35~45 |
12G SHTB20 | 20 | 307 | |
12G SHTB22 | 22 | 379 | |
12G SHTB24 | 24 | 443 |
めっきの品質
付着量 | 550g/m² |
---|---|
均一性 | 硫酸銅試験:6回で異常なきこと |
密着性 | ハンマー試験: 異常なきこと |
溶融亜鉛めっき後のセットのトルク係数値
ボルトの種類 | トルク係数値による種類 | トルク係数値の平均値 |
---|---|---|
12G SHTB | A | 0.110~0.150 |
設計耐力
ボルトの種類 | 長期許容耐力 | 短期許容応力 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
1面せん断(kN) | 2面せん断(kN) | 引張(kN) | 1面せん断(kN) | 2面せん断(kN) | 引張(kN) | |
12G SHTB16 | 35 | 70 | 78 | 53 | 106 | 118 |
12G SHTB20 | 55 | 110 | 122 | 83 | 166 | 184 |
12G SHTB22 | 68 | 136 | 148 | 102 | 204 | 222 |
12G SHTB24 | 80 | 160 | 176 | 120 | 240 | 264 |
ボルトの種類 | 最大耐力 | ||
---|---|---|---|
1面せん断(kN) | 2面せん断(kN) | 引張(kN) | |
12G SHTB16 | 145 | 290 | 197 |
12G SHTB20 | 226 | 452 | 307 |
12G SHTB22 | 274 | 548 | 379 |
12G SHTB24 | 325 | 650 | 443 |
施工
- 摩擦面の処理
摩擦面の処理は従来のF8Tの溶融亜鉛めっき高力ボルト接合と同様に、ブラスト処理、または、りん酸塩処理を標準とする。 - ボルトの締付け
1次締めは、仮ボルトを締付けて部材の密着を確認後、全ボルトについて1次締め用機器でナットを回転させ行う。
本締めは1次締付け及びマーキング完了後を起点として、本締め用機器でナットを(90°~120°)回転させて行う。
●1次締め機器(シャーランナー)
【ご使用時の注意点】
- SHTBの導入張力は通常の高力ボルトに比べ高いため、対応した締付け機をご使用下さい。
- 締付けの際には、ボルト頭部のマークをご確認下さい。
- 本製品をご採用の場合は使用環境確認書の提出が必要です。
●締付け工具の一覧表
ボルト種類 | 1次締めトルク(N・m) | 1次締め用機種 | 本締め用機種 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
シャーランナータイプ | 回転角レンチ(トルシャット) | ||||||
SR-31SR-32 | SR-51SR-52 | TN-20E | TN-22E | TN-24E | NTW-24 | ||
12G SHTB16 | 約200 | ○ | ○ | ||||
12G SHTB20 | 約300 | ○ | ○ | ○ | |||
12G SHTB22 | 約300 | ○ | ○ | ○ | |||
12G SHTB24 | 約400 | ○ | ○ | ||||
トルク範囲 (N・m) |
--- | 150~300 | 300~500 |
溶融亜鉛めっき高力ボルト
特長
溶融亜鉛めっきを施した高力ボルトを建築構造物に使用する場合、通常は建築構造物毎に国土交通大臣の認定を必要とします。
しかしながら、当社は〝溶融亜鉛めっき高力ボルト接合〟の国土交通大臣の認定を取得しております。従って、当社の溶融亜鉛めっき高力ボルト(GHボルト)を使用し、〝設計施工指針〟〝施工管理要領〟に沿って設計・施工を行う場合は、物件ごとの個別の認定を必要とせずに自由にお使いいただけます。
溶融亜鉛めっき高力ボルトは、次のような特長をそなえております。
- めっきの付着量は550g/㎡以上としており、長期防錆に優れております。
- ナットはねじ加工後にめっきするため、ねじ部の防錆も十分確保されます。
- ボルトの強度は、じん性に富み安定した強度となっております。
- ナットはめっき後に潤滑処理を施しているため、トルク係数値は安定しており、ナット回転法による施工性に優れております。
防錆処理高力六角ボルト
防錆処理高力ボルトは、高力ボルトの締付け後、仕上塗装までの間に錆が発生するのを防ぐ目的で、比較的短期の防錆性能をもたせた高力ボルトです。
特長
- 長期にわたり錆の発生を防止し、本塗装時の錆落しの必要がありません。
- トルク係数値は低く、しかも安定しています。
- 各種の上塗り塗料との適合性に優れています。
- 継手性状(すべり耐力、応力弛緩、ゆるみなど)は通常高力ボルトと変わりません。
- 防錆油による汚れもなく、塵埃などの付着がありません。
- 外観が美麗です。
アンチラストTCボルト(防錆処理高力TCボルト)
特長
アンチラストTCボルトは、ボルト締付け後、仕上げ塗装までの間に錆が発生するのを防ぐ目的で、防錆処理性能をもたせたトルシア形高力ボルトです。
アンチラストTCボルトは、締付軸力が安定し、しかも温度依存性に優れ、かつ上塗り適合性に優れた防錆処理高力ボルトです。
- 締付軸力が安定し、温度依存性にも優れています。
- 締付けは通常の高力TCボルトと同一のレンチで締付け可能です。
- 長期にわたり錆の発生を防止し、本塗装時の錆落としの必要がありません。
- 継手性状(すべり耐力、応力弛緩、ゆるみなど)は通常の高力ボルトと変わりません。
- 防錆油による汚れもなく、塵埃などの付着がありません。
- 外観が美麗です。
- 締付け後のピンテール破断面の補修用塗料も用意いたしております。(別売)。
耐火鋼高力ボルト
特長
- 耐火鋼用高力ボルト(高力ボルトFR)は、建築構造用耐火鋼(FR鋼)の接合用として開発したもので、次の3種類の製品が有ります。
・高力TCボルトFR
・高力六角ボルトFR
・溶融亜鉛めっき高力ボルトFR - 耐火鋼(FR鋼:Fire Resistant steel)は、従来の一般建築構造用鋼材と比較して高温強度に優れており、鋼材温度600℃における降伏点が常温規格の2/3以上を有しています。FR鋼を柱・梁(はり)などの主要構造部材に使用し、耐火設計によって火災時の鋼材温度が600℃以下となることを検証することで、耐火被覆を無くす、あるいは大幅に軽減することを可能にした鋼材です。
- 通常の場合、FR鋼の接合には「高力TCボルトFR」を使用します。
このボルトはJSS Ⅱ 09(構造用トルシア形高力ボルト・六角ナット・平座金のセット)に準拠した高力TCボルトであり、常温時の性能については、国土交通大臣の一般認定を取得しています。